顧客が本当に必要だったドリル

インタラクティブインスタレーション。プロジェクターで投影された野原の映像の前に、穴の空いた木の板が置かれている。体験者が穴に指を入れると板は凶暴なモーター音とともに振動し、映像内では空中に電動ドリルが出現する。穴に指を入れるたびに電動ドリルは増えていき、野原は埋め尽くされていく。

マーケティング分野で「ドリルを買いに来た人が必要としているのはドリルではなく穴なのだ」という有名なことばがある。作者はかねてより、このことばに違和感を感じていた。道具を作り、その道具で環境を変改することこそ、人間と他の動物とを区別するものではないのか。ドリルが狂おしいほどに好きだ。